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 2013年6月23日(土)にブルーノートにてブッゲ・ヴェッセルトフト&フレンズのライブを観てきました。ブッゲはノルウェーのジャズ・ピアニストですが、エレクトロ・ミュージックへの造詣も深く、実験的なスタンスを取っていることからも“フューチャージャズ”とも呼ばれたりもしています。ブッゲの近作では2011年にリリースのブッゲとヘンリック・シュワルツの共作『Duo』が私的名盤でもあり、アンビエンスな心地よさを追求したピアノとシンセの有機的な絡み具合が素晴らしい作品でした。昨年のブルーノート公演はチェックし忘れていたので、今回は見逃すまいと会場に足を運びました。
 バンドはブッゲ(ピアノ&シンセ)と管楽器(トランペット/サックス)にベース、パーカッション、ドラムに加えて、ハウスDJのホアキン“ジョー”クラウゼルという7人編成。全体的にはブッゲが得意とするミニマルでエレクトリックなジャズが中心ですが、キーマンとしてDJ&ビートにジョーがいるので、それで収まるということはもちろんないです。ジョーのビートの音色はTR-909的っぽい王道のキックとハットだけという潔さで、ミキサーのEQを使って4つ打ちのビートを入れたり、切ったりしながら緩急を付けていく。その姿はいつものDJブースで見られるジョーとほとんど変わらない姿。生楽器隊が6人もいるのにそこに合わせちゃうのか〜と、最初は思ったんですが、スピリチュアル・リーダーのジョーが引っ張るかのように楽器隊が付いていく感じがうまくハマっていて、違和感なくハウスのビートと生の演奏がマッチしていました。トランペットやウッド・べースもさまざまなエフェクトを入れたりしていて、エレクトリカルな演出はお手の物という感じ。個々の演奏力も素晴らしいものでした。それと、ジョーがときたま見せるパッドでのプレイも凄く、激早の手さばきが、まるでパーカッショニストのよう。ハイライトはジョーの熱にさらされたブッゲのアグレッシブなシンセ演奏。KORGのMS-20とProphet-05っぽいシンセとエフェクターを組み合わせて、変幻自在なサウンドを生み出していく即興演奏は、アナログ・シンセならではのスリリングさに満ちていました。
 全体的にはハウスのビートでグイグイと引っ張る曲と、ブッゲのカラーが出たアンビエント・ジャズが半々程度でうまく緩急がつけられていました。ジャズらしく個々のプレイヤーの見所もあり、アンサンブルの良さもありで、気がつけばあっという間に1時間半のフルステージが終了。ビート主体の曲ではクラシックハウスっぽいアレンジがあったり、途中でダブっぽくいったりと、まるでDJミックスのような展開。ミニマルなジャズの曲調だと、エレクトロ色が薄くなるかわりに、先ほど指摘したダンスっぽい曲の展開や各楽器の音の配置などで、オーソドックスなジャズとは全然違う聴かせ方をしているあたりにブッゲのセンスを感じました。ワン・セッションも15分くらいの長さで、見どころも多かっため、あと2時間くらいは見ていたかったです。個人的にはジョーのビートを効かせたアッパーな曲をもっと聴きたかったけど、そうしたらあっという間に3時間くらいのロング・セットになるのでしょう。(それはそれで楽しそう)ブッゲのレーベルJAZZLANDのカタログはまだそれほど網羅していないので、チェックしてみようと思います。ちなみに私的名盤はコレです。

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