また間が空いてしまいました。目標では3日に一度更新なのですが、すみません!最近新譜系の紹介をしていなかったので、わりとベタなセレクトではありますが、聴いて何かしら書きたいと思ったものをピックアップします。もう新譜じゃなくね? というものもけっこう含まれていますが。。。

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『In Between Times』/Gaudi

 レビューで送られてきて“キタ!”と思った一枚です。ロンドンをベースで活動するアラビックなテイストをエレクトロ・ダブとして聴かせるGaudiの最新作。アンビエント・ダブが好物の身としては『Bass,Sweat & Tears』は、針飛びするまで聴いた思い出の一枚だったので大興奮でした。内容としてはマイケル・ローズやリーペリーなど豪華なゲスト陣も増やしてインターナショナルに通用するダブ・ミュージックを追求した感じでした。流行のダブ・ステップ風味もあったりしますが、ベースにある独特のサイケデリック感は失われておらず、インストで深めのダブなどは、レイヴ好きならばニヤリとされられる仕掛けが満載なので、その手の方は要チェック

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『Reincarted』Snoop Lion

 西の大物、スヌープが本格的にレゲエに取り組んだ意欲作。スヌープのラスタ改宗(と言うとちょっと語弊あるけど)彼の地元でもあるロングビーチはヒップホップしかりロックしかり、もともとレゲエを受け入れる文化があったので、ごく自然な成り行きだったんだなと感じます。そのせいか力の抜け方もとても心地よい作品でした。プロデュースしているDiploのサウンド・ワークについてはレゲエ好きの中で賛否が分かれるようですが、ルーツ・レゲエのフォーマットに則りつつも、今っぽく聴かせる手腕を聴く限り、断然賛成。個人的にはMajor Lazorの新作よりも好みでした。客演だけみるとスヌープのラップ・アルバムみたいですが、自らヘナチョコながらに歌ったりもしていて、そのあたりの一生懸命さにも好感が持てますねー。

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『Twelve Reasons To Die』Ghostface Killah

ラッパーつながりだと、ゴーストフェイスの新作が秀逸でした。プロデューサーが注目株のエイドリアン・ヤング。デルフォニックスの新作を手掛けるなど“ソウルオタク”として知られ、Wu-TangのRZAとも親交のある人物です。本作では昔のソウル・ミュージックのサントラ的な音世界に、稀代のストーリー・テラー・ラッパーが絡んでいくわけですが、もともとスモーキーなトラックとの相性が最高のGhostfaceだけに、素晴らしいマッチングを聴かせてくれます。低域をドーピングしない生ドラムと
ラップって実にスリリングだな〜と思える一枚。昔のB級ホラーっぽいジャケも◎

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『Random Access Memories』Daft Punk

ここで書かなくてもすでに絶賛の嵐ですが、ホントに素晴らしいです。テーマとしては生バンドで表現するダフトパンク流のディスコ・ミュージック
といったところですが、ディレクションといいサウンドの質といい、今年の洋楽作品群では今んところベストという印象です。もともと持っていたメロディの良さも生きているし、オマー・ハキムやネイザン・イーストなどの超一流ミュージシャンの抜群の演奏をあえてディスコという反復の音楽に落とし込むセンス、彼ら自身もアナログにこだわり膨大なモジュラーシンセを使ったサウンドも素晴らしい。いわゆるフェスのヘッドライナーを務めるビッグなエレクトロ・アーティスト(exケミカルやアンダーワールド)とは、このアルバムを出したことで、アタマ一つ抜きん出たのは間違いないでしょう。毒がないなんて批評も見かけましたが、今作でそういうところを彼ら自身が求めていないし、長く聴けるようなエバーグリーンを狙った作品なんだと僕は思っています。総制作費が○億ドルというハリウッド映画クラスの作品ですが、それに見合った素晴らしいアルバム。最近はJames Blakeの1stしかりBon Iverしかり、いかに予算をかけずに良いものを作るというものばかりだったので、こういう昔ながらの力作ってホントに少ないので、音楽好きの自分としては久々にワクワクさせられました。音好きなら今年これを聴かなきゃ話にならんぞ、と断言できる作品です。

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『Legacy』RP BOO

最後はマニアックどころを。最近ハマっている一枚でシカゴ発祥のダンス・ミュージックであるJuke/Footworkシーンでは重鎮といわれるアーティストの最新作(日本はもちろんデビュー盤)です。たまたまレビューの依頼で聴く機会を得たのですが、病的なダンス・ミュージックにすっかり虜になってしまいました。もともとジューク自体がハウス/ヒップホップなどから派生した音楽なのであまり比較対象にはなりませんが、個人的には変態サイケ〜ダブステップShackletonと共通するところがあると思っています。もちろん声ネタの使い方や昔のリズムマシンROLAND R-70をメインで使うところに、ブラックな雰囲気をヒシヒシと感じますが、変拍子を多用した呪術的なグルーブなどに共通点が垣間見られる印象です。コレは中毒性高いですよ。ビート好きからダブステップ好きまでハマれる一枚です。

どれもリリースされている作品なので、ぜひチェックしてみてください〜。