Live Report 2013.10.13
Place:UNIT

Mala in Cuba Live @UNIT

去年の私的ヘビーローテーションだったMALAの『MALA in Cuba』。MALAは南ロンドン出身のUKダブステップ・ユニットDigital Mistikzの片割れで、お題として「キューバ・ミュージック」を取り込んだ。ベース・ミュージック・アルバムです。別ジャンルのアーティストがキューバに現地訪問して音素材を収録し、再構築するというコンセプトは、まぁけっこうよくある手法ではあります。こういった現地録音系の中でもキューバが取り上げられるのが多いのは、音楽性の特異さに加えて、ミュージシャンのレベルの高さにもあると個人的には思っています。ストリートで流している人たちでも、プロ顔負けだというのは、良く聞く話ですね。このMALA in CUBAもそういった流れで制作されたアルバムなのですが、現地キューバ人の演奏を取り込みつつも、極限までミニマルなサウンドに仕上げているのがポイント。そうすることでパーカッションやピアノのフレーズに原始的な雰囲気が宿っていて、これが聴くとホントにハマるんですよね。かなり中毒性高いです。前置きが長くなりましたが、そんなMALAがバンド・セットをやるとのことだったので、これは観るしかないと思い立ち、行ってきました。編成は4人でMALA(Mixing)、SWINDLE(k)、Oliver Soares(per)、Takashi Nakazato(timb)。内容としてはラップトップからビートを出しながらダブ・ミックスをMALAが行いつつ、それに合わせて他のミュージシャンが生演奏を合わせていくというもの。
 シーケンス+生楽器という編成に手厳しい私ですが、結論から言うと素晴らしかったです。再生環境が良くないと聴けないアルバムの重低音も堪能できた上に、プレイヤーの演奏も巧みだったので大満足。ライブの勝因は、作品で聴けるミニマルなサウンドに忠実だったことでしょう。ビート、ベースとたまに入るホーン以外はすべて生演奏でカバーできていたので、生演奏の臨場感もしっかり出ていて、ちゃんとバンドとして機能していました。キューバならではの跳ねるパーカションと重圧なビートのアンサンブルは見事で、ライブならではの肉感的なグルーヴをしっかりと生み出していました。ビートの音数自体も少ないので、ピアノの演奏が際立つところも良かったですね。
ちなみにこの手のシーケンス+生楽器がライブで負け戦になるときは、打ち込みと生演奏がかみ合ってないことが多いです。こうなると常に開演から終演までアタマので“その生演奏に意味はあるのか?”という疑念がリフレインすることになります。もちろん今回のライブはそんなことは、微塵も思いませんでした。MALA、もう一枚このコンセプトで作ってくれないかなー。そう期待したくなるほどにいいアルバム&ライブでした。未聴の人はアルバムもチェックしてみてください。

ライブはこんな感じ