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D’Angelo & The Vangard@SUMMERSONIC

Paul McCartney@東京ドーム

Juana Molina@晴れたら空に豆まいて

Jeff Mills@Today’s Art

ATA@Rainbow Disco Club

Mastodon@Liquidroom

The Battles@六本木EXシアター

ORPHX@rural2015

Dr.Lonnie Smith Trio@Bluenote Tokyo

Hunee@Air

 ベストライブ2015。今年もよかったDJもちょこちょこ入れています。年始に見たフアナ・モリーナは相変わらず良かったです。ポップだけど奇天烈、オルタナティブでポリリズミック。おもちゃ箱をひっくり返したようなフアナらしいパフォーマンスでした。ポール・マッカートニーは前回も観に行きましたが、あまりによかったので今回もいっちゃいました。ビートルズの曲のオンパレード、ヒット曲のパワーをまざまざと感じられます。まだまだ声もしっかり出ていたし、あともう一回くらいは見たいですね。恒例のメタル系だとSlayerもなかなかでしたが、やっぱりHannemanのヌケ穴を埋めるのは難しいなーという印象。ということで、かなり久々の来日だったMastodonに軍配。ストナーとメタルの中間を行くマストドン、最近はプログレシッブさは減ったものの、いい作品を出し続けていますね。ライブのさすがの安定感でグイグイ惹きこまれました。

 続いてはダンスものだと、Rainbow Disco Clubで観たATA。遅めのテンポでじわじわといくDJプレイ、ストイックだけどかける曲の幅は広い。RDCだと他にもJohn Talabotもなかなかでしたが、総合点ではATAがベストでした。というかRDCは初野外でしたけど、かなり良いフェスでした。3日目のラインナップがRushHour All StarsとATAだけって濃い! でも、よくやった! 来年も期待しています。そのまま続けるとrural2015ではORPHXのライブが素晴らしかったです。インダストリアル街道を突き進む男女デュオですが、世界観の作り込み方と、飽きさせないビートのバリエーションもよく、非常に完成度の高いライブセットでした。インダストリアル系のアーティストはMNML SSGをはじめいろいろと観ましたが、ORPHXがベストでした。あとは、ジェフ・ミルズがToday’s Artで見せたパフォーマンスがとってもエネルギッシュで良かったです。編成はジェフに加えてジェラルド・ミッチェル、大野由美子さんと日野賢二さんというスペシャル・バンド。たぶんジェフはもっとクールにやりたかったんだろうけど、そこはNY仕込みの絶倫ベーシスト日野さんが黙っていないということで、かなりグルーヴィーで熱いサウンドになっていました。大野さんのフリーキーな演奏も素晴らしく、これはここでしか観られない一期一会なライブだったと思います(ジェフの予想とは違ったかもね)。んでダンスものラストは年末のAirで観たHunee。Teradaさんも素晴らしかったですしHuneeはアルバムも良く手、今年のRushhourはイケイケでした。そのHuneeのDJ、これまた卓越したディスコ系ミックスなんだけど、今っぽい感じもちゃんとあって。とっても楽しい時間を過ごせました。

 ライブに戻りましょう。7月にブルーノートで観たオルガントリオ、Dr. Lonnie Smith Trioはその変幻自在さにやられました。もう個人的な好みですが、やっぱりオルガンの音はいいですね。芳醇なグルーヴ、各演奏者の巧みなアーティキュレーション、優れた演奏を聴くと、それぞれの音にどんどん集中してしまう……というお手本のようなライブでした。続いて新作『La Di Da Di』も良かったthe Battlesが、とっても良いライブを披露してくれました。今回はとにかくジョン・スタニアーのドラムの音が良かったというかデカかった! バトルズの音楽的イニシアチブを握るのはジョン以外のふたりですが、やっぱりこの鬼タイトなリズムがないとバトルスは成り立たないんだなーと再認識。彼らのライブはこれまで、たまに散漫に感じるときもあったのですが、今回はとても緊張感があって演奏もタイトで、今まででの来日公演のなかでは一番彼らしい世界観を描けたパフォーマンスだったと思います。

 で、ベストアクトはD’Angelo & the Vanguard。もう何年D様のライブが見られることを望んでいたか……とは言え、途中で諦めモードになっていたので、かなり冷静に見られました。そうはいってもすんばらしいライブでした。JBを彷彿とさせるねちっこい(しつこいとも言います)ソウルショウ的な構成や、ガッツリと歌だけ持って行く感じからは、やっぱり先輩達が作り上げた本物のソウル・ミュージックを背負ってやっていくんだという気概を感じました。クリス・デイブとピノ・パラディーノという最高のリズム隊の演奏といい、それらを見事に纏め上げてコンダクトしていくD様は“別格”に本物でした。もともとブラック・ミュージックは大好きなので、いろんなライブに足を運んではいますが、僕くらいの世代になると特にソウルやR&Bとなると、どうしても後追いになってしまうもの。やっぱり現役で今、こんなにもカッコよくて全方位的な黒人音楽をやっているということ自体が嬉しいし、涙が溢れるくらいに素晴らしいライブ体験でした。やっぱりブラック・ミュージックっていいですね。本当はGrateful Deadのラストライブを観にいくつもりでしたが、チケット争奪戦に負け、自宅のTVで観戦となりました。現場に行けていればここに長々と書くつもりでしたが、今あらためてD様のライブを思い出して書いていると、ここまで感動できたかなとも思ったり。とにかく、今年も良い音に巡り会えたことに感謝。ちなみに僕のライブ納めは、国内最高峰のブラックミュージック・バンドだと思っているCRAZY KEN BANDのカウントダウンライブ。それではみなさんもよいお年を。