ちょっと前になってしまいましたが、5/25にunitで開催されたLow End Theory Japanにお手伝いがてら遊びにいったので、そのことについて書いておきます。Low End TheoryはLAのビート・ミュージックを代表するパーティで、2006年にLAにてプロデューサー&エンジニアのダディ・ケヴが始め、ビートメイカーやプロデューサーに視点を当てた独特の路線が功を奏してか、今をときめくフライング・ロータスやガス・ランプキラーなど、気鋭のクリエーターたちを次々と輩出し、その地位を不動のものとしています。出演者もオーディエンスもビート好きが集結する、そんなイベントの日本版です。
 で、何を手伝ったのかと言うと、イベント本編がはじまる前に、Low Endに出演するアーティスト2名によるラップトップDJのワークショップを行っていて、Ustream配信部隊として(カメラマン)としてヘルプをしていたわけです。その内容が非常に面白かったので、本編はさておき、こちらをレポートしていこうと思います。このセミナーに出演したのはLow Endの主宰者Daddy Kevと気鋭のクリエーターのTaurus Scottの2名、それぞれがパフォーマンスで使用している機材の解説とデモ演奏、それに合わせて質疑応答が行われるといった内容。Daddy KevはiPadを駆使したパフォーマンスをすることでも知られていますが、そんな彼の影響もあってかLow End周辺のアーティストは、最新機材を巧みに使いこなすタイプが多いようにも感じていて、そのあたりがLAのビートシーンの面白さの1つだという気がしています。
 Taurus ScottはTraktorを軸にコントローラーのTraktor S4とMaschine MK IIを併用するスタイル。Maschineをビートメイク機としてよりもライブ機材でよく見かけるように、たくさんのエフェクトをMaschineのパッドやノブにアサインして、プレイ中にトラックをエフェクトで切り刻んていくようなタイプです。デモンストレーションではダブステップなどのビート系を主体に、スライスしたり、エフェクトをかけながら、その場で新しいサウンドを作り出していました。Daddy Kevは先ほど書いたように、MacBookとiPadにインストールしたTouch OSCを駆使してSERATO Scratch Liveをワイヤレスでコントロールするパフォーマンスを披露。複数のエフェクトをくみ上げた独自のTouch OSのインターフェースで、見事に曲を再構築していました。彼はiPadがリリースされてすぐに、DJプレイにiPadを導入しており、Touch OSCの画面をよく見ると、Daddy Kev Interface Ver7(だったかな)と書かれていて、これまでに何度もバージョンアップされていることが分かります。このようなラップトップDJが登場して以降は、アナログでのプレイとのメリット/デメリットが比較がされることも多いですが、彼らを見ていると、デジタル機材の良い部分を最大限に生かしながら、同時にデメリットでもあるパフォーマンスの弱さをしっかりと補強しつつ、ラップトップDJパフォーマンスのあり方をきちん探っていて、なんだか頼もしくも感じました。テンポ同期機能や多彩なエフェクト、TraktorにおいてはRemix Deckなど、つなぐだけでなく“リアルタイム・リミックス”なプレイが、簡単にできるようになった現在のDJ機材ですが、それらをどうやって自分のモノにしていくのか、その好例が垣間見れる、刺激的なワークショップでした。
 このワークショップ自体、Ustで配信もされていたのですが、わりとバタバタ進行していたこともあり、その場にいても何を解説しているのか、本人たちの真横にいた僕ですら、イマイチ分からなかった部分も多々ありました。とは言え、すごく良い内容だったのでもっと多くのDJやミュージシャンにも見てもらいたいと思ったので、当日の模様を機材の解説(字幕付き)とパフォーマンスだけに絞って編集してみました。興味のある人、友達にDJやミュージシャンがいたらシェアしてください。機材に興味がない人でも、パフォーマンスとしても面白いと思いますよ。