ラスト曲で上がる花火

ラスト曲で上がる花火

暑さゆえにちょっとだらけてしまいました。気を取り直してサマソニ2日目のレポをサクっといきたいと思います。

【John Legend】
カニエ・ウェストとともに躍進してきた人気シンガーのジョン・レジェンド。彼のライブを観るのは初で、グラミーも受賞作したザ・ルーツとの共作『Wake Up』が大好きだったので期待していました。編成はレジェンドのためにグランド・ピアノも用意され、コーラス隊も配したフルバンド。数曲を披露してくれたので個人的には大満足でしたが、すっかり忘れていたのは”この人は濡れ系シンガー”だったこと。濡れ系とは簡単にいうとバラードで持っていく歌手で、彼も黒人歌手の中ではこの道の王道を行くタイプ。なので、普通ならば盛り上がるまずの時間帯をしっとりと攻める(本領だしね)わけで、会場がまたマリンステージだったので、好きものにしか分かんないかもなぁ
(っていうか灼熱のスタンディングは辛そうだな)という印象でした。とは言え、ビール片手にスタンド席の陰で涼んでいた自分にとっては最高の時間でした。

【Smashing Pumpkins】
高校の頃のすり切れるほど聴いていたスマパン。そのわりには縁が無く、これまでライブを観たことがなかったです。スマパンを止めた理由(たしかセールスでバックスに勝てないとか…そんなだったような)とか、その後のズワン〜再結成までのハゲ(ビリー)の器の小ささに嫌気がさして、その頃の作品は聴きもしていなかったのですが、
まぁせっかくだし一度くらいは見てみようかなと思って、レジェンドからスタンドに居座り続けました。なんだか過去の名曲は一切やらなかったいわくつきのライブもあったので、期待していませんでしたが、最初の方で「天使のロック」をやったときは、何だかんだで鳥肌立っちゃいました。見てくれはハゲで声も変ですけど、いい曲を書くなぁと。あとギターも上手かった! 何でもエディ(ヴァン・ヘイレン)に憧れていたようで、サイド・ギターがエディのモデルっぽいギターを持っていたのも、それが理由か!と勝手に理解してしまいました。スマパンのオリジナル・メンバーはビリーだけ、ビリー以外は演奏もほぼアマチュア・レベルでしたが、昔の曲をやればちゃんとスマパンだなって感じで、まだまだ頑張ってほしいなと思いました。話はそれますが、スマパンが出演したマリンスタジアムはその後ミスチルというスケジュールで、
東京の一日前の大阪公演ではミスチルの心ないファンが演奏中もスタンディング席にシートをしいて座っていたことに対して、ビリーが気を悪くして、MCで皮肉を言っていたようですが、東京公演は幸いなことにそういった光景があまり見られなかったのにも関わらず、ほんのわずかに座っていたミスチル地蔵(と呼ぶらしい)に、次は有名な曲だから立ってくれ的なことを言っていて、個人的にはちょっと幻滅しました。。。あいかわらず器がちっせぇな。ということですっかり我に返ってジョンスペを見るために退散。

【The Jon Spencer Blues Explosion】
昨年に8年振りの復活アルバムも出しているジョンスペ。見た目的にはちょっと老けたな〜という印象もありましたが、昔と変わらないギンギンのロックに熱くなりました。ブランクがあったからなのか、客入りは芳しくなく、かなり前で観たら、出音の良さにビックリ。2ギター&ドラム編成なのですが、ベースいらないな〜っていうくらいにレンジ感もまとまっていて、演奏もすこぶるタイト。しびれるようなロックンロールを久々に聴けて大興奮でした。

【Earth Wind & Fire】
これまでの中では確実にベスト・アクト。やっぱりアースは偉大だな〜。やっぱり当時(70年代ね)のディスコ・バンドのなかでも群を抜いてヒット曲あります。「September」1曲でもスゴイのに、それクラスのヒット曲がごろごろある。ブラックミュージックなんて知らないって若い子でも知ってる! っていうキラー・チューンがあるのはやっぱり偉大です。オーディエンスも年配の方から20代前半の子までみんな大合唱できる、こういうバンドこそフェスにふさわしい。オリジナルメンバーは今や3人になってしまいましたが、中でも谷村新司似のヴァーダイン・ホワイト(ベース)は、まったく衰えていなくてビックリ! ステージも飛ぶわ跳ねるわで、リズムをガチっとタイト。ビビっときたなぁ。黒っぽくなりすぎないグルーヴにアース独特のコード感は本当に唯一無二です。モーリスが病気で来れなくなった2000年代中盤(武道館かフォーラムが最後だったはず)からは観ていなかったですが、やっぱり現存するブラック系のバンドとしては今だに希有な存在だなと、あらためて実感しました。

【MUSE】
正直MUSEは今年のスーパーアリーナにも観に行ったのでアースが終わったら帰ろうと思っていたのですが、彼らを観終わったあとに、もうちょっと盛り上がりたいということになり、途中から参戦しました。3人の鉄壁の演奏に加え、サウンドも同位置から観ていたメタリカと比べて、とても良かった。同じシステムを使っているのに、もうエンジニアの腕なんでしょうね。分離の良さもスピード感も抜群でした。そして、やっぱりMUSEはやってくれた! ど派手な演出! これぞMUSE!スモーク炊きまくりでステージ見えないわ、巨大ロボットが出てきて耳から煙吐くわで、今回はスタジアムと言えど普段のピラミッド型スクリーンを設置できなかった分を取り戻さんばかり。このべったべたなハデさ加減が“君らの祖先、絶対大阪人だよね?”と聞きたくなるくらいに、関西風なんですよね〜。僕はそこも含めてMUSEがとても好きです。このハデさ、壮大さはデビュー当時から変わってないという、ブレのなさがMUSEの魅力ですね。ハイライトは何と言っても最後の曲で花火を打ち上げたこと。これはサマソニ史上前代未聞です。普段ならヘッドライナーの演奏が終わったあとで打ち上げるのが、MUSEきってのお願いがあり、最後の曲中に何とか上げてもらったようです。もちろん花火の炸裂音であんまり演奏が聞こえないんですが、全然オッケーでした。ほんとさすがMUSEだな〜。マリンスタジアムなんて彼らにとっては小箱なんだと思えるくらいの圧倒的なスケール感。Radiohead以降のロックバンドの中ではMUSEが最もビッグなバンドに成長したのは間違いないですね。

 ということで、やっぱり洋楽好きな自分としては2日目の方が観るもの多かったかなという印象でした。でも、今の洋楽中心としたロックフェスでチケットを売り切るには、ステージ毎に色を統一するよりも、洋邦を織り交ぜて入れ替え制のショウケース的なラインナップにしないと難しいんだろうな〜という印象もあります。そういう意味でサマソニのラインナップはメチャクチャに見えて、実は毎年チャレンジングな仕掛けをしているんだなと思います。さて来年はどんな布陣で来るんでしょう? 個人的にはスヌープ・ライオンとか呼んでほしいな〜。