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 レゲエやワールド・ミュージックが好きな方なら一度は聞いたことがある錦糸町の河内音頭。僕も数年前からその噂を聞いていて行きたいなと思っていたのですが、ようやく足を運ぶことができました。ちなみに河内音頭はもともと、大阪府下北 – 中河内地域が発祥元の民謡(音頭)で、錦糸町で河内音頭盆踊り大会がはじまったのは86年というから、今年で27年目。そのきっかけとなったのは芸能評論家の朝倉喬司氏が河内音頭の魅力にとりつかれ、東京河内音頭振興隊を結成して、東京での河内音頭の普及に尽力を入れたのがきっかけだったそうです。ちなみにレゲエと河内音頭との接点は漫才師の若井ぼんが、ジャマイカのレゲエサンスプラッシュにレゲエ版の河内音頭として出演したというのがあります。
 当日会場についてまず驚いたのがステージとフロアの構成。一般的に盆踊りはやぐらを囲むように輪になって踊ることが多いですが、こちらはいわゆるステージ、それを見るお客さん、後方に踊る人が集まる空間になります。あと、音響設備がしっかりいて驚きました。PAミキサーもMIDASのデジ卓でした。ステージ上を見てみると和太鼓、三味線……に加えてギターもいます。三味線のシンプルなフレーズにギターを入れることでより厚みを出すのも河内流のようです。で、面白いのが踊りの流れ。実際に踊っている方々に合わせてみると、“引き足”のステップが多いので、だんだんと後ろに下がっていきます。もちろん、ずっと後ろにいっては戻ってこれないので、あるところまでいったら逆方向に、そしてまた向きをかえて……と、銀行のATMの列のように踊っていきます。俯瞰して見ると、ちょっと面白い光景です。
 あらためて河内音頭のリズムをとってみると、これまた独特でした。
基本的には4分か8分のカウントで取れるのですが、踊り自体は3小節で単位で進行します。この3小節進行に早くなれるために16で細かくリズムを取ると、何だか合わないし疲れる。慣れると楽なんですが、淡々しながらも独特のリズム。踊り出すとけっこうハマります。一方ステージに目をやると、基本的には同じバックの演奏に延々と歌を乗せるスタイル。多少違いはありますが踊れる音と歌で延々と行くというのは、ある意味ではダンスホールレゲエにも通じますね。レゲエはセレクターとDJでいくわけですが、いずれにせよ“寄席”っぽい雰囲気があります。こういった所謂大衆芸能音楽は世界中に共通して存在しますが、河内音頭も同じ系譜なのだなと感じました。この大衆臭さが残っているからワールド・ミュージックって面白いんですよね。これがまた錦糸町という地場と合わさってとても良い雰囲気。大衆芸能は決してハイソなものではないので、高架下の空き地という開催場所もピッタリ。俗っぽいダンスが好きな人は、一度行ってみると面白いですよ。