以前にこのブログでお伝えしたA Guy Called Geraldのライブ・レポート。オール・アナログ・セットでのライブ機材についての詳細は、Sound & Recording Magazineの10月号に詳しく書きましたが、実は本人がデジタルでのライブDJセット(DOMMUNEでやっていたやつね)も持っていて、その解説もしてくれたので、取材の際のこぼれ話をここに書きたいなーと思っております。こぼれ話とは言えかなりマニアックな話なので、興味のある方はという感じで。彼がアナログではなくコンピューターで音楽を制作する際はPROPELLERHEAD Reasonを使っていることはサンレコでも語っていましたが、ライブDJセットでも愛用しているのはMacbookにインストールしたReasonでした。しかも2枚使い!以下はジェラルドの言葉を引用。

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実際にデジタル・セットでライブを行う場合は、2台のコンピューターに同じ2つのReasonとI/O(たしかMetrikhaloだった)をDJミキサーに接続して音を出していて、
それぞれのマシンに異なるReasonで創ったアイディアのREXファイルを読みこみ、Reason画面上のミキサーにコンプやゲート、モジュレーションのエフェクトを立ち上げて使っている。要は自分がアナログ機材でやるセットを同じことをReasonで再現しているのさ。ミキサーの使い方も自分のアナログ卓とほとんど同じ。ただし、もっと規模の大きなライブ・セットを行うときは、それぞれのコンピューターからI/Oを使って、8chパラで出してMIDASのミキサーにつないでいる。Reasonの内部ミキサーにリヴァーブやディレイなどのエフェクトがセンド/リターンで接続され、TR-808やSH-101似たモデリング系の音源(リズムは確かRedrumだったような)を使い、エクスターナル・シーケンサーなどはいわゆる自分が所有しているAKAIのサンプラーと同じように使っている。いわゆるアナログでのセットと同じような感覚でやっているから、アナログと同じようにモジュールの接続がシュミレートできるCombinatorは欠かせない。ReasonはCPUへの負担が少ないから、サンプル・レートを24ビット/96kHzで行っている。そうすることで高域と低域の解像度が抜群に増すからね。ただし、私がこのセットでライブをやるときによく問題が起こる。共演するアーティストがABLETON Liveを使っていたりすると、音の差は歴然なんだ(笑)。

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実際に取材のときは1台のコンピューターに2枚のReasonを立ち上げて、ライブ実演をやってくれましたが、さすがに見づらそうでした。アナログでのセットも素晴らしかったですが、デジタルと言えど出音は完全にジェラルドのあの音。アナログの音を知り尽くしているからこそ出来る芸当だとは思いますが、逆に確固たるイメージがあればアナログ/デジタルと問わず、自分の音は出せるんだという、優れたミュージシャンならではの「耳と表現力」を感じずにはいられませんでした。作品で言うと近作の『Tronic Jazz The Berilin Sessions』はReasonだけを使って制作しているので、そんなところを気にしながら耳を傾けてみると、面白い体験ができると思いますよ。

Geraldのコンピューターに立ち上げられた Reasonその1

Geraldのコンピューターに立ち上げられた Reasonその1

Reasonその2。BPMはいずれも123!

Reasonその2。BPMはいずれも123!